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女性と運動

 看護の学習の中のひとつに母性看護学があります。母性看護学では、妊娠・出産・育児などの学習がメインと思われていますが、各年代の女性の健康維持への援助も含まれています。
 ここでは、各年代の女性と運動(スポーツ)に焦点をあててお話します。
 
思春期の女性と運動
 中学生・高校生の頃は、授業でも部活動でもかなり身体を動かすことが多いと思います。この頃の運動量は女性の生涯の中で、最も多いのではないかと言われています。栄養所要量も身体の発育にあわせて運動量から考えても、各年代の女性の中で一番多くなっています。新陳代謝も活発で、食べても身体がそれなりに消化していって、どんどん体重が増加していってしまうことは少ないはずです。中には例外の人がいるかも知れませんが・・・
 この年代に身体を動かすということは、大変重要です。その理由として、体を動かすことにより気分がすっきりし、次へのやる気が起こります。また、よい友人関係を築くことができたりと、精神面でよいことがあります。
 身体面では、体を作る(筋肉の増強、肺活量の増加など)ことができる中に、骨量の増加が含まれます。運動をすることによって骨に負担がかかりますが、それが骨量を増加させることにつながります。女性は18~20歳頃に骨量が最大(★ピークボーンマスと言います)になりますから、その前の中学・高校の時代に運動することはピークボーンマスを高くすることに有効です。このピークボーンマスを高くしておかないと、年を取ってから骨量の減少が激しく、骨粗しょう症などで日常生活も普通にできなくなります。
 若い頃は家に閉じこもっていないように、運動をして体を十分に動かしましょう。将来の自分がはつらつと過ごせているかをイメージしてみてはどうでしょうか・・・
 
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  清野佳紀ほか「薬の知識, Vol.143,No.10, 6 1992」より
 
 
妊娠期の女性と運動
 妊娠すると流産や早産といった心配があって、運動を控えてしまいがちです。しかし、心配な時期をのぞけば、運動をしたほうが血液の流れも良くなり、赤ちゃんのために必要な栄養や酸素を運ぶことができるし、いらなくなった老廃物を受け取って排泄することができます。妊娠中を通して10kg位の体重増加が理想的といわれていますが、食べることを我慢して体重増加を抑えようとするのは、苦しいことです。体を動かすことにより、消費エネルギーを増加させて体重を抑えることができるため、ここでも運動は重要です。
 お産はマラソンを走るくらいの体力が必要といわれるくらい持久力が要ります。また、お産をするときに必要な骨盤周辺の筋肉の柔軟性を養うことと筋力を鍛えるために妊婦体操などが実施されています。近年ではそれだけでなく、妊娠・出産に必要な運動量を考えたマタニティスイミング・マタニティビクス・マタニティヨガなどを専門のインストラクターに指導してもらい運動を行う妊婦さんも増えてきています。注意するべきことを守っていれば、安心して妊娠中でも運動ができ、精神的にも安定し赤ちゃんへの影響も良いと考えられます。
 
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本学の実習病院である飯田市立病院での両親学級(左)   妊婦体操の足首の運動を実際行っているところ(右)
 
 
産後の女性と運動
 出産後は育児が中心となり、運動などはなかなか行えないことが多くなります。それにより妊娠中に増加した体重が減らず、次の妊娠をしてしまうとまた体重が増加してしまい、雪だるま式に大きくなっていってしまいます。そんな人が周りにいませんか・・・ それに加え、子どもの食べ残しなどを食べてしまい、体重が増加してしまうことも考えられます。育児中こそ運動が必要となっています。こまめに体を動かし、エネルギーを消費していくことが、いつまでも妊娠前の体形を維持できることにつながります。また、その後の肥満による生活習慣病の予防にもなります。
 
 
更年期の女性と運動
 女性が50歳位になると閉経(月経がなくなる)になります。その前後10年間が更年期とよばれる時期です。この頃は女性ホルモン(エストロゲン)が徐々に減少していき、閉経とともに分泌されなくなります。このホルモンにいろいろな働きがあるため減少することにより、身体的・精神的に症状が出てくるわけです。また、体力の低下がみられ、特に筋量の減少とともに、栄養過多、運動不足から肥満、さらに生活習慣病になりやすくなります。思春期のところで述べましたが、この時期になるとエストロゲンによって保たれていた骨量が急激に減少していきます。それを少しでも緩やかにしてくれるのが、運動と日光浴です。食事内容に留意するとともに、運動量の増加によって骨量減少の抑制を図ることができます。加えて、運動することにより筋肉の動きも良くなり、年をとってからも転ぶことが少なくてすみ、骨折の危険性が少なくなります。この年代も運動することは、若々しく、健康的に日常生活を過ごすためにも有効です。
 
各年代の女性にとって運動することは、理由は違っても日常生活をよりよく過ごすために重要なことです。