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HOME >  「親と子の運動遊び」ゼミによる家庭での遊びの紹介(学生のレポート集より)①

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「親と子の運動遊び」ゼミによる家庭での遊びの紹介

はじめに

 先月まで、絵の具をちりばめたかのような錦のキャンパスも、今ではひっそりと静かな季節となりました。
長野県飯田市は、雪の少ないところですが、四季の変化を十分に楽しめる自然の豊かなところです。しかし、残念ながら、飯田の豊かな自然にあっても、大人も子どもも、自然を感じる人は少なく、私には、現場の保育者のみが努力して子どもたちを自然といかに出会わせるか賢明であるかのように感ぜずにはおれません。
幸いなことに、我が子の健やかな育ちのために地域や保育所・幼稚園で実施される子育て支援活動に参加される熱心なお母さん方の姿が多くなっています。このことは、お母さん方にとって、お子さんを短期から長期に見据えた子育ての大事さを学ぶ場として大変意味のあることだと思っています。

私たち田中ゼミでは、親子の満たされた関係が、何よりも健やかな子どもの心と体を育むことができると考え「親子の運動あそびとその支援について」研究しています。ここに、子どもの心身の発達に適した遊びとして、1歳児~2歳児、3歳児のお子さんとご家庭で遊んでいただけそうな遊びをシリーズでご紹介していきます。
お子さんとの遊びの視点を下記のような柱にしました。
各年齢の柱は、単に、その運動だけをやるのではなく、その柱を中心としたお子さんの興味・あそび・動きを見ながら、お母さんの工夫で少しずつ遊びを広げることも試みてください。
< お子さんとの遊びの視点>を下記のような柱にしてみました。
・零歳児では「這う、立つ、歩行前期の段階を十分に経験させたい。」
・1歳児では「歩行の完成をめざしてバランス・跳の経験を楽しませたい。」
・2歳児では「跳への関心を高め、ボールなどを扱うことで手と目の協応性を養いたい。」
・3歳児では「楽しく歩く、跳の変化を試み多様な運動あそびに取り組ませたい。」

今回の遊びの紹介は、「這う、立つなどの歩行前段階」から「歩行の完成」を意識した
遊びです。お子さんとの関わりの中で、わが子への新しい発見、交流を楽しんでください。
最後に、お子さんとの遊びの様子など教えていただければ、大変励みになります。よろしくお願いいたします。

今年度のテーマ : 脚づくり「歩く力を育てよう」

「トトロで歩こう」
(環境)
・1本のラインを使用します。
畳のへりやフローリングの板目を使うこともできます。
また、ビニールテープを床に貼って遊ぶこともできます。
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(運動)
・1本のライン上を親子で列になり、トトロの‟さんぽ”の歌を歌いながら行進してみま
しょう。
・腕を大きく振り、顔はまっすぐ前を見て腕を振り、腰から上をまっすぐ伸ばして歩くこ
とができますか。
・歌を早くしたり遅くしたり、声をかえたり、大トトロ・中トトロ・小トトロに変身する
ことで一層楽しめます。
(運動のねらい)
・移動系スキルの向上(バランスをとって歩く)
・リズム感、身体認識力、空間認知能力の育成
・姿勢づくり
(提供:坂元亜佑美)

「ネズミさんになってチョコチョコ歩き」
(環境)
・ 座布団や丸を描いて、その上(中)で動きます。
・ 始めは、座布団や丸の数1個から、徐々に数を増やしてみましょう。
遊びの中で、危険を確認するのもいいですね。
(運動)
・ネズミさんとネコさんの運動です。
・ネズミさんは 小さな歩幅で早く、チョコチョコ歩きをしてみましょう。走らないでね。
・猫さんは ネズミを捕まえるために、フープ内を素早く、走ったり飛んだりしてみまし
ょう
(運動のねらい)
・移動系の運動スキルの向上(歩く、跳ぶ)
・敏捷性、瞬発力、平衡性、空間認知能力の育成
(提供:池上ひとみ)

「よちよちロボットからビユンビユンロボットへ」
(環境)
・スタートとゴールの位置を決めて歩きましょう。
(運動)
・親の両足の甲に子どもが立ち、二人で歩調を合わせて前に、後ろに、横に歩いてみまし
ょう。
・子どもが不安定なときは、子どものわきの下を支えてあげてください。
・「よちよちロボット」「オイッチニ、オイッチニ、しっかり歩こう、オイッチニ、オイッ
チニ」など声をかけて、一緒に歩きます。
・ゴールまで頑張れたら、抱っこして抱きしめてあげてください。
・動きに慣れたら、親子で向かい合い足を重ねて一緒に歩いて見ましょう。
二人の体が離れないように気をつけてあげてください。
(運動のねらい)
・二人の動きをあわせて歩く、協応性を育てる。
・バランスのコントロールができる。
(提供:宮下 彩)

「ウサギさんの冒険」
(環境)
・絵本を通して、うさぎさんのイメージを持ちましょう。
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(運動1)
・お母さんと両手をつないで、一緒にウサギさん(両足とび)になって、高く跳んだり低
く跳んだりしましょう。
・両足は一緒に床についていますか。左右バラバラですか。
・膝の曲げ伸ばしができていますか。
・リズミカルに連続的な跳動作が見られますか。
(運動2)
(環境)
・お母さんは腰を下ろして両足を開いてください。
・お母さんの脚を木に見立てて遊んでみましょう。
(運動)
・お母さんの脚を木に見立て,またいでみましょう。片足を高くあげてまたぐことができますか。
・お母さんに両手を支えてもらい、脚(木)の上に登り、ピヨンと飛び降りてみましょう。また、脚の間に立ち、ジャンプして脚の上に飛び乗ることができますか。
(運動3)
(環境)
・お母さんは、よつばい姿勢をとってトンネルをつくる。
(運動)
・お母さんの四つばいトンネルをくぐる。
・時々、「地震が来たー」といって、トンネルをぐらぐら揺らしたり、トンネルをくぐる子
どもの上に崩れてみましょう。土砂の中から子どもは自力で這い出ることができるでし
ょうか。
・お母さんの体でいろんなトンネル作りとトンネルくぐりを楽しんでください。
・お部屋の中やお外でのトンネル探しとトンネルくぐりに挑戦してみましょう。
(運動のねらい)
・脚・腕の筋力をつける。
・高さの感覚を身につける。
・バランス感覚を高める。
・着地の仕方を体験する。
(提供:岡村仁美)

「ボールをキック」
(環境)
・柔らかく大きなボール(直径25cm位)を用意する。
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(運動)
・「○○ちゃんボールが行くよ」(蹴り転がす)「ボールをコロコロ(ポーン)と蹴れるかな」
声をかけてみましょう。
・子どもに積極的な取り組みを促すように、「もう1回やって見せて」「 お母さんはゴール
キーパーになるよ」挑戦意欲を高めていきましょう。
(運動のねらい)
・バランス感覚を高める
・腰・下肢の筋力高める
・目と脚の協応性を高める
(提供: 宮澤なつき)

「音を鳴らしてあそぶ」
(環境)
・お部屋の中で、いい音、面白い音をだす物を探しましょう。
(机の音、コップの音、なべの音、スリッパの音、おもちゃの音など)
(あそび)
・お母さんのたたく音のリズムで、一緒に音合わせをしてみましょう。
(大きく・小さく、ゆっくり・はやく、強く・弱くなど)
・音にあわせて踊ってみましょう。
(あそびのねらい)
・音に集中する
・リズム・速度感を身につける
(提供:原 真奈美)

「高ばい運動」
環境
・座布団やお布団を用意します。
運動1:
・お尻を上げてよつばいになり、トンネルをつくりましょう。
・トンネルができたら、トンネルの下をボールや車を走らせてみましょう。
運動2:
・腕を肩幅に開いて、手首をたてて、体を支えてください。
・肘は伸ばしましょう。
・お尻は上げましょう。
・よつばいのままで、足を駆け足しましょう。
・足先は、どのくらい高く上がりますか。
・よつばい姿勢で頭を起こし「小さい駆け足」から「大きな駆け足」に挑戦してみましょう。
運動3:
・足を空中でパチパチあわせてみましょう。
・このとき、「トントン」「1.2.1.2.」など声を出し、励ましてください。
・肘は伸ばし、お尻は上げて挑戦しましょう。
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運動のねらい:
・ トンネル作りで手足を伸ばして体を支える「逆さ感覚」を体験する。
・ 腕・脚の筋力を高める。
(提供:中島舞奈)

「自転車こぎ」
(環境)
・親子で広いところに仰向けに寝る
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(運動)
自転車を走らせるイメージで、思いっきりペタルを漕ぎましょう
ペタルを踏む様子で、スムーズな回転運動をする。
・自転車ストップ ➾ 赤信号です
・スピードを上げる➾坂道で~す
・右カ-ブ、左カ-ブ➾ハンドルを切るようにする
・スローモーション➾坂道で~す
・一定の姿勢で、運動が持続しないように配慮してください。
(運動のねらい)
・脚力・腹筋力の強化
・逆さ感覚の育成
(提供:櫻井晴菜)

「木登りよいしょ」から「くるりん宙返り」
(環境)
この遊びは、お家の少し広い場所でやるようにしてください。「お母さんの木に登ってね」子どもはこれから、何が始まるか期待できるでしょう。
親子で両手をつなぎ、子どもにお母さんの体に登ることを促しましょう。
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(運動1)
・子どもの腕をしっかり握り、自分の力で登らせるようにしましょう。少しずつ体の角度、
脚の運び方に工夫がみられてくるでしょう。
(運動のねらい)
(運動2)
・山登りをしたら、脚を支えにして後ろにクルリと回転してみましょう。
・逆さになったら、周りのものがみ-んな逆さに見えることに気づかせてください。
(提供:山口 美保)

「ハイハイで追いかけっこ」と「タオルでおにごっこ」
(環境)
・室内の広いところあそびましょう。
・ハイハイでぶつかる危険なものは片付けてください。
・子どもは、前を見ずに進むことがあります。壁にぶつかったりすることがありますの
で気をつけてあげてください。
運動1:
・「まてまて、捕まえちゃうぞ!」声をかけながら、子どものハイハイを後ろから追いかけ
ます。子どもは時々振り返りながら、親の反応や追いつくのを待っています。
・追いかけるスピードは、子どもの反応を見ながら、あまり速くない方がいいでしょう。
運動2:
・(運動1)に慣れてきたら変化をつけてみましょう。大人の足首に、少し長いカラフルな
布をつけてハイハイを促してください。子どもは、タオルを追いかけて楽しむでしょう。
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運動のねらい:
・腕の力や脚の力を育てる。
・腕と脚の協応動作を促す。
(提供:山口美保)

参考文献

  1)0~5歳児の運動あそび指導百科: 前橋明著、ひかりのくに
2)幼児にうける体育とリズム : 斉藤道雄著、大月書店
3)0歳児の保育資料 : 鈴木みゆき編著、ひかりのくに
4)1歳児の保育資料  : 鈴木みゆき編著、ひかりのくに
5)どの子ものびる運動神経(幼児編):白石豊・広瀬仁美著、かもかわ出版
6)子どもの発達を考えたボール遊び(3歳児・4歳児編)、水野豊二著、